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 そして、最近の子供たちの集中力が、とっても弱くなっていることも憂うべき事実である。じっくり と目を閉じて人の話を聞くというような集中力や、想像力を要求される場面でなかなか集中できない!! 目に見えるもの(特に動きのあるもの)には興味を示すが、言葉で説明された状況を頭の中でイメージ化、 図形化することが不得意な子供が、明らかに増えてきている。  その辺りも、もしかしたらテレビの影響が大きいのかもしれない。観客やスタッフの笑い声で、それ がいかにも可笑しい事のように煽り立て、更に聞くところによると、最近のバラエティー番組では、笑 うべきところにテロップまで入れて「ここは、こうだからおかしいんですよ!さあ皆さん、笑ってくだ さい!!」といった具合に、なんとも親切に教えてくれてるのだとか!!これ一つをとっても、子供た ちの想像力や判断力は、いったいどうやって育つのだろうとつくづく疑問に思う。  できれば一度、目を閉じてテレビを見て(聞いて)いただきたい。字幕を含め、至れり尽せりの映像 表現に、完全に慣らされた健常者の皆さんは、画面の状況がほとんど掴めず、相当なストレスを感じ、 それと共に今の子供たちが、どれほど恵まれた(可哀想な)状況に置かれているのかという事に、きっ と驚かれることだろう。
 いずれにしても、テレビが家族だったり友人だったりして、テレビに映っている世界が、唯一自分の 世界になってしまったり、某番組で「・・・が体に良い」と言われると、スーパーマーケットのそれが 全部売り切れたり・・・・・!!これまた背筋が寒くなる。
 以前僕は、鍼の専門家として整形外科に勤務していた。来院した或患者さんに、鍼の効果理論を話し たところ「先生、それは間違いですよ!だって昨日NHKで・・・と言ってたんですから!」と言われたこと がある。鍼には、いろいろな流派や考え方が在り、それらが互いに切磋琢磨している現状で、何処かの 大学教授のテレビでの一つの見解が、少なくともその患者さんにとっての、唯一の正しい情報として伝 わってることが、とてもやりきれなかった。
 ところで、家に帰ったらまず真っ先にテレビのスイッチを入れるという人は多い。僕もまた、多くの 人の一人である。テレビをつけると、何の努力もせずに情報がどんどん流れ込んでくる。しかもその情 報は、自分でまとめなくても整然と整理されている。また、、テレビさえ見せておけば、子ども達は喜 ぶからと、家族の会話や触れ合いは、どんどん無くなってゆく。そのテレビは、毎日言葉のマジックを 使って、子供たちを惑わせる。例えば「援助交際」とは、何の事はない「売春」である。  それが「援助交際」と聞くと、なんとなく少し柔らかく聞こえてしまう。しかも、これほど頻繁に聞 かされると、特に取り立てるほどの大事でもないような気にさえなってくる。これこそ「言葉のマジッ ク」と言えないだろうか!!親や兄姉との会話の中で、教えられ議論して学ぶ・・・。  家族という一番身近な人間関係ですら、希薄になりがちな今、友達、ましてや社会の人々と巧くやれ なくなるのは、至極当然だと言えよう。迷いや疑問をリアクションすることもなく、一方通行の情報を がんがん詰め込まれると、ドラマの世界と現実の区別すらできない子供たちが、どんどん増えていくよ うに思えるのだ。
 かといって、ここまでどっぷりと情報化社会に浸ってしまった我々現代人は、今更「テレビを見るな」 などと言われても、それはあまりにも、非現実的な響きにしか聞こえないだろう。ただ、夕食時の団欒 くらいはテレビから離れて、文字通りの「団欒」を過ごしたいものだ。少しずつでも、テレビ依存の生 活から脱却する努力はしていかねば、人類の未来は、暗澹たるものになりはしないかとの危惧の念を拭 えない。外からの情報ばかりに気を取られていると、自分自身の内面と向き合えなくなりはしないだろか。
 テレビの「刺激度競争」に振り回されていると、目の前の微妙な出来事に、気がつかなくなるのでは ないだろうか。庭先に生えた草のつぼみが、小さな花を開いたことに、命の営みの素晴らしさを思い、 感動の涙を浮かべられるような、そんな日本人でありたいものである。

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